2018年7月3日火曜日

06_無制限の自由という幻想

ロバート・N・ベラー他共著 「心の習慣」アメリカ個人主義のゆくえ(みすず書房)より

私たちは、自分たちが他の人間から区別された特別な創造物だと思ってきた。私たちは力また力へと追い求めてゆくなかで、人間の限界というものを否定しようと試みてきた。私たちは人類に再び加わり、自らの本質的な貧しさを贈り物として捉え、私たちの物質的富を貧しい人々と分かち合った方が良いのだ。



「オリバー・ストーンが語る もうひとつのアメリカ史」ヒストリーチャンネルより

19世紀以来、中国はイギリス、日本、ロシアなどの強大な国家と戦い、何度も屈辱を味わってきました。50年代には朝鮮半島でアメリカとも対峙しました。中国は現在、世界第二位の経済大国です。アジアの国々にとって、アメリカに代わる重要な貿易相手国になりました。経済的利益と海上交通路を確保するために、中国は軍の近代化に乗り出しました。

アメリカ国防総省は、2012年の中国の国防支出を1600億ドルと推定しています。しかし実際にどれだけなのかは分かっていません。国外の軍事基地は一か所だけですが、東シナ海、南シナ海の天然資源や島の領有権を巡る論争では強硬な姿勢を見せ、周辺諸国との緊張は高まっています。国内では共産主義とは名ばかりの政府が旧態依然の政治体制を続けています。近代化にひたすら邁進する一方で、一党支配に疑問を抱く反体制派を容赦なく抑えこみます

新たな対決が始まっています。アメリカはアジアで新しい同盟国を開拓し2017年までに最新鋭のステルス戦闘機を、中国への攻撃圏内の基地へ配備するとしています。日本、韓国、台湾、フィリピンとの軍事同盟の強化、海兵隊2500人をオーストラリアに駐留させ、ベトナム戦争以来初めて長期駐留部隊を拡大しました。

オバマ政権が2010年と11年に台湾へ合計120億ドル相当の武器を売却すると、中国はアメリカが中国を封じ込めようとしていると激怒しました。政治学者で著書「文明の衝突」で知られるサミュエル・ハンティントンはこう述べています。「他国がアメリカに抱く恐怖を甘く見てはならない」。

アメリカが軍事的冒険を続け、経済的衰退を放置すれば没落するだろうとマッコイは指摘します。テクノロジーへの過信による軍事的退廃か、新しい技術の出現による世界支配の永続か、この先百年の間にどちらが先に起こるかにアメリカの運命がかかっているというのです。

映画「スターウォーズ」が描いているように、テクノロジーの力で世界を支配しようとすれば、やがて強権政治が始まります。そして人々の憎しみを買うのです。核の時代の新たな帝国になるかもしれない中国。しかしアメリカやイギリスをモデルにすれば、失敗するでしょう

漢民族の覇権主義は、アメリカの例外主義に似ています。元国防次官補のジョセフ・ナイは、20世紀の列強が当時の新興国、ドイツや日本を国際体制に組み込めなかったことが、二つの大戦を招いたと言います。同じ過ちを繰り返してはいけません。中国はアメリカを手本にしてはならないのです

 「西側が戦争に勝ったのは、考え方や価値観が優れていたからではなく、組織的暴力に長けていたからです。我々はこのことを忘れがちですが、負けた方は決して忘れません」。

歴史学者のアルフレッド・マッコイは来るべき脅威を次のように記しています。

国防総省は早ければ2020年には、短距離空対空ミサイルを搭載した無人機や、宇宙空間に構築した軍事衛星による防衛システムを使って地球全体を監視したいと考えている。このシステムにより敵の通信や航空機、船舶の電子機器を不能にし、相手を無力化することが可能だとしている。

しかし、マッコイは情報やテクノロジーで絶対的な力を得られるという幻想は、過去にも傲慢な国々を破綻に追い込んだと警告します。第二次大戦のドイツ、ベトナムでのアメリカのように

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