2018年6月22日金曜日

08_ナルチスティックな誇り


良性型のナルシシズムであれば、何か創造的な事柄を成就しようとすれば、唯我独尊のサークルから離れ、その集団が達成しようとする対象に、必然的に関心を持つようになる。

集団ナルチシズムの社会学的機能の一つは、構成要員の多くに満足を与えないような社会は、成員に存在する不満を除去するために、悪性型のナルチスティックな満足感を彼らに与える必要がある。 経済的・文化的に貧困な人々にとっては、その集団に帰属するために生まれるナルチスティックな誇りこそが、唯一の、そして非常に効果的な満足感なのである


人生が面白くなく、また興味を持ちうる期待がないからこそ、彼らには強いナルチシズムが発達してくるのである。このような現象は、ヒトラーのドイツでも見られたし、現在のアメリカ南部に見られる人種問題のナルチシズムにもそれが見られる。

両者とも人種的優越感の核は中産下層階級であったし、現代でもそのことは同じである。中産下層階級は、経済的にも文化的にも被搾取階級であるが、その状況を変化しうるような現実的希望が全くない(社会の老化現象と、退化形態の被害者)ために、唯一の満足しかもちえないのである。

すなわち我々は世界で最優秀の種族であり、劣等種族と考える他の種族より優秀であるという慢心から生まれる自己像である。こういう集団の成員は次のように感じている。

私は貧乏で教養はなくとも、世界で一番立派な集団に属しているからこそ重要な存在である。つまり白人だからだ」とか「私は、ユダヤ人ではなく、アーリア人だ」と。⇨  エーリッヒ・フロム「悪について」紀伊國屋書店より

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