2018年6月10日日曜日

02_生命に対する蔑視


生に対するネクロフィラスな蔑視と、スピードや機械的なものをすべて賞賛する傾向とが婚姻関係にあることは、ここ数十年の間にはじめて明らかにされたことである。にもかかわらず、1909年の昔、<未来派宣言>でマリネッティがこのことを簡潔に表現している➽ エーリッヒ・フロム「悪について」紀伊國屋書店より

■未来派宣言ーフィリッポ・トンマーゾ・マリネッティー(1876~1944)詩人・批評家

1、われわれは危険を愛し、エネルギッシュで勇敢であることを歌う。

2、われわれの詩の原理は、勇気、大胆、反逆をモットーとする。

3、在来の文学の栄光は謙虚な不動性、恍惚感と眠りであった。われわれは攻撃的な運動、熱に浮かされた不眠、クイック・ステップ、とんぼ返り、平手打ち、殴り合いを讃えよう。

4、われわれは、世界の栄光は、一つの新しい美、すなわち速度の美によって豊かにされたと宣言する。爆発的な息を吐く蛇にも似た太い管で飾られた自動車・・・・・霰弾に乗って駆るかのように咆哮する自動車は<勝利の女神ニーケ>の像より美しい。

5、われわれは軌道の上に自らを投げた地球を貫く軸をもった舵輪を握る人を歌う。

6、詩人は熱狂と光彩と浪費に熱中すべきである。その根源的要素たる熱狂的な情熱をかきたてるために。

7、争い以上に美しいものはない。攻撃なしには傑作は生まれない。詩と歌は未知の力を人間に屈服させるための、激しい突撃でなければならなぬ。

8、われわれは世紀の突端をなす岬に立っている。不可能なるものの神秘の門を破らねばならぬとき、なぜ後ろを振り向かねばならぬか?時間と空間は昨日すでに死んだ。われわれは永遠にして普遍なる速力を創造した。故にもはやわれわれは絶対の中に生きている。

9、われわれは戦争 ーそれはこの世の唯一の健康の泉だー 軍国主義、愛国心、アナーキストの破壊力、殺すことの美的傾向、女性蔑視を讃えよう。

10、われわれは博物館、図書館を破壊し、道徳主義、フェミニズム、一切の便宜的、功利的卑劣と闘おう。

11、われわれは労働、快楽、さては反抗によって刺激された大群衆を、近代の首府における革命の多色多音な波動を、電気のどぎつい月の下にある兵器庫や造船所の振動を、

煙を吐く蛇を飲み込む貧焚なる停車場を、黒鉛の束によって雲にまで連なる工場を、体操家のように日に輝く河の凶暴な刃物を飛び越えている橋梁を、

水平線を嗅いで行く冒険的な郵船を、長い筒で緊められた鋼鉄製の巨大な馬に似てレールの上を跳躍する大きな胸をした機関車を、

プロペラの唸りが翼の羽ばたき、熱狂興奮した群衆の喝采にも似て滑空飛揚する飛行機の歌を歌う。

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