2018年4月15日日曜日

02_母権から父権へ

キャンベルは神のイメージは多様だ。それらは<栄光の顔>を覆うこともあれば見せることもある<永遠性の仮面>だと言った。➡ ビル・モイヤーズ

多くの文化において、父権的宗教の前には母権的宗教が存在したことが知られている。母権的宗教では、最高位の存在は母親である。母親は女神であり、家庭でも社会でも権威者である。母権的宗教の本質は母性愛である。母性愛は無条件の愛であり、ひたすら保護し、包み込む。無条件であるため、コントロールすることも獲得することもできない

母親に愛される人は無上の喜びを覚え、愛されない人は孤独と絶望に苦しむ。母親が子供を愛するのは、その子が自分の子どもだからであって「良い子」だからでも、言うことをよく聞くからでも、母親の願いや命令通りにふるまうからでもない。母親の愛は平等なのだ。母権的宗教の下では、人間はみんな母親から生まれた子供であり、母なる大地の子供であるから、すべての人間は平等であると考える。

人間の進化における次の段階は、父権的な段階である。母権的段階とはちがって、私たちは父権的段階を、(現在の先進工業国の文化は父権が元になっているので)推論や歴史の復元に頼らず充分知っている。 この段階で母親は最高の地位から引きずり降ろされ、社会においても宗教においても、父親が至高の存在となる。父性愛の本質は、父親が要求し、規律や掟をつくることであり、父親が子供を愛するか否かは、子供が父親の要求に従うか否かにかかっている

父親の好む息子は、自分に一番似ている息子、一番従順で、自分の後継者、すなわち財産の相続者として一番ふさわしい息子である。父権社会は私有財産の発達と並行して発達しし、その結果、父権的社会は序列・階層的になり、母性社会における兄弟間の平等は、競争と反目に取って代わられる。

インド、エジプト、ギリシャの文化や、ユダヤ・キリスト教、イスラム教などは、父権的世界の典型である。そこでは、男の神々とそれを支配する一人の神がいる、あるいはたった一人の「神」を除いて他の神は全て抹殺されている

 エーリッヒ・フロム「愛について」紀伊國屋書店より

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