2017年11月6日月曜日

4、産業特化の危険性

「JAPAN繁栄への回帰」JAPAN THE RETURN TO PROSPERITY
ラビ・バトラ著、青柳孝直+山田智彦訳、総合法令、1996年より

分散多様化の必要性
経済は第一次(農業・林業・漁業・鉱業)
第二次(建設業・製造業)
第三次(公共事業・交通機関・報道機関を含む、その他のサービス業)
の三つの産業分野に分散多様化することが望ましい。

理想的には、労働者人口全体の40%が第二次産業に、10%が第一次産業、残りの50%がサービス業に就く。そして最低限度として、

建設業と製造業の労働人口が全体の3分の1を下回らないことが、分散多様化のためには必要である

リスクを分散する
とはいえ、日本や韓国、ドイツのような国では原材料が不足している。またサウジアラビア・クウェート・UAEなどの国では肥沃な土地がほとんどない。こうした国は第一次産業分野の需要を充分に満たすことが出来ない。

このような場合、輸出とそれに関する業務が第一次産業の必要量に見合うことで、分散多様化されていると見なすことが出来る

逆に、ひとつの分野に特化し、外国との貿易に依存する国の場合、経済は不均衡の状態にある。こうした国はほとんどの卵を一つのカゴに入れ、外からの衝撃に弱い状態にあり、不況や恐慌に陥りやすい状態である。

つまり労働生産性が向上したにもかかわらず、実質賃金は一定もしくは低下しかねないということである

1970年まで、ほとんどの国の経済は分散多様化されていた。しかし、その後カナダとオーストラリアは鉱業と農業、アメリカは農業とサービス業、そして日本は製造業に特化していった。

製造業に特化した日本は他の先進国よりも急速に成長することになる。そして、1973年以降、アメリカとオーストラリアの実質賃金は低下し、日本は税引前の実質賃金はわずかに上昇し、税引後は低下(手取り賃金の低下)したのである。

石油ショック以後
1973年~1975年の経済危機により、政策立案者は<日本の経済成長は輸出にかかっている>と確信するようになる。 第一次成長期に行った国内需要の基盤拡大の代わりに、海外の需要に依存していった。日銀は定期的に為替市場に対する介入を行い<円高を防止>した。

円高が進めば、石油や原材料が物価の上昇を抑えるのに充分なほど安くなっていたはずであり、急激なインフレが抑制されていれば、経済の成長は自動的に再開するはずだった。しかし政府は失業対策に赤字国債の発行と外為市場への介入を選び、1970年代の投資比率が上昇したにもかかわらず実質GDPの成長率は下落した

外為市場への介入は、円高の進行を緩やかにしたにすぎなかったが、政府や企業は<輸出に取りつかれて>しまっていた。円高の中でも輸出増大を図りたいという政府や企業の要望は、労働生産性と実質賃金の間にギャップを生み出すことになる。

円高の中で輸出拡大を計る唯一の方法は、自社の製品価格を引き下げることしかなく、そのためには、生産性の上昇に比べ賃金の上昇を遥かに低く抑える必要が出てくる

貿易黒字を生み出す政策が、結局は実質賃金の上昇を抑えてしまったのである。さらに、財政赤字政策とその結果である増税は、実質賃金の上昇を抑えるどころかゼロにした

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