2017年8月10日木曜日

11、エスタブリッシュのヴィジョン

1893年のシカゴ万博でF・J・ターナーは「アメリカ史におけるフロンティアの意義」を発表し、

偉大な西部のフロンティアはついに消失し、19世紀アメリカの強さ、楽天主義は収縮の危機に直面したと論じた。

セオドア・ローズベルトは、国民に「奮闘生活」を呼びかけ、これこそが今必要とされる改革の始まりとして、多くの人びとに歓迎された。かくして、

政治的言説は世紀の変わり目とともに変わり始める。

19世紀に典型的だったイデオロギーなき利益闘争は、多くの人々の目に、

新しい経済・社会状況に対処できなくなったものと映り、「改革(リフォーム)」という言葉が、

国家的安定と社会正義」を模索する言葉として意識的に使用された。

姿を現した産業社会の無秩序を、<どのような方法>で継続的で倫理的にまっとうな国民社会へ形作るかという問いがなされた。

その答えの一つがエスタブリッシュメントのヴィジョンである。

それは主として産業界・金融界のエリートと結びついたもので、彼らは自分自身の企業と並んで、

総合大学病院博物館オーケストラ学校病院などの諸機関に基金を提供し、それらのネットワークを創りあげた。興味深いのは、

大都市圏であれ、地域的なものであれ、それらの機関はすべて、私企業と同じく自発的団体の原則で作られたということである

そしてこれらの勢力の強さは、アメリカ国家の相対的な弱さと相関関係にある。実際、

今日でも、大規模な研究大学とか有名な博物館とかいった、たいていの社会では公営であるような機関が、アメリカでは私的な機関のままだが、これは、制度構築に対するエスタブリッシュメントのヴィジョンの遺産である

こういった機関の構築者たちは、地方の大立者に国家的責任の意識を与えるような「高貴なるものの義務(ノブレス・オブリュージュ)」や公共的奉仕を促すコスモポリタン(国際主義)的な倫理を広めようとしたが、これらのヴィジョンには、明らかにカルヴァン主義の影響が感じられる。

エスタブリッシュメントのヴィジョンは、

大規模な制度や利害取引の政治に介入し、個人的影響力や交渉力を通じて、争いを実りある妥協に導き、和解の道を見出そうとするものである。エスタブリッシュメントのヴィジョンはコスモポリタン的で柔軟なものであり、大きな国家的目標のなかに様々な利害を調和するべく務めるものである。

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